猫の恩返し
「トーゴが出て行ってから…?」


顔を固定したまま視線だけ俺から逸らし、一生懸命考えている

少しだけ口を尖らせたその表情が可愛いと思ってしまう俺は、どこかおかしいのだろうか


「目が覚めたらトーゴが居なくて………」


「うん」


「お腹が空いたから、ご飯食べて…。トイレに行きたくなったから、昨日トーゴが連れて行ってくれたトコに行こうと思ったら開かなくて…」


そう言われて初めて、トイレのドアの開け方が分からないのだと気が付いた


「えっ!で…どうしたんだ?」


「砂…あったからした」


申し訳なさそうに俺を見上げるナツ

ちゃんとトイレを済ませられたことにホッとして、ナツの頭を撫でてやる

猫の砂を片付けないでよかった…と、心の底から思った


「なあ…。砂って?」


「猫の砂」


「は?」


まあ…当然の反応か
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