猫の恩返し
お前は黙ってろ…とばかりに、溝口が俺を睨んだ
「やましいことがなけりゃ、ちゃんと答えられるだろ?」
「………私………」
ナツの声に、他の物音が一切聞こえないほどの静寂が訪れる
「『私』…何?」
「………トーゴに拾ってもらった猫」
おずおずと答えるナツに、頭を抱える溝口
「………小岩井」
「何だよ」
「言わせてるんじゃないだろうな」
「お前………俺のこと信用してないのか?」
一緒に酒を飲み、バカやって騒いだこともある
俺の中で『溝口』というヤツは、連絡はなくても気の置けない友人だと思っていた
だから、正直ショックというか情けない
「悪いけど…こういう仕事をしてると、身内だから安心…なんて一つも思っちゃいない。お前も分かるだろ?」
首の後ろに手を回し、俺を見上げる
「身内が一番信用ならない…。犯罪に一番近い場所に居るんだ………。それに染まるヤツも嫌ほど見てる」
溝口の言葉に、署の入り口から連行されてきた被疑者のことを思い出した
普段は裏から入ってくるため表から連行されてくることはないが、その時は怒号が飛び交い、カウンターに居た一般市民や俺達事務の人間は呆気に取られ、署の空気が凍ったことを覚えている
「やましいことがなけりゃ、ちゃんと答えられるだろ?」
「………私………」
ナツの声に、他の物音が一切聞こえないほどの静寂が訪れる
「『私』…何?」
「………トーゴに拾ってもらった猫」
おずおずと答えるナツに、頭を抱える溝口
「………小岩井」
「何だよ」
「言わせてるんじゃないだろうな」
「お前………俺のこと信用してないのか?」
一緒に酒を飲み、バカやって騒いだこともある
俺の中で『溝口』というヤツは、連絡はなくても気の置けない友人だと思っていた
だから、正直ショックというか情けない
「悪いけど…こういう仕事をしてると、身内だから安心…なんて一つも思っちゃいない。お前も分かるだろ?」
首の後ろに手を回し、俺を見上げる
「身内が一番信用ならない…。犯罪に一番近い場所に居るんだ………。それに染まるヤツも嫌ほど見てる」
溝口の言葉に、署の入り口から連行されてきた被疑者のことを思い出した
普段は裏から入ってくるため表から連行されてくることはないが、その時は怒号が飛び交い、カウンターに居た一般市民や俺達事務の人間は呆気に取られ、署の空気が凍ったことを覚えている