猫の恩返し
「気になるなら、とことん調べてくれたらいいさ。お前の気が済むまで…」


半ば諦めるようにそう言うと、溝口は難しい顔をしてそっぽを向いた

何かを考えているらしい


「…お前の話は信じたい…。でも、そいつを見て『猫だから信じろ』って言われて、誰が信じられる?」


まぁ…

確かにそうだよな…


「狂言癖(へき)って思われても、仕方ないか…」


溜息を吐き情けなく笑うと、ガタッと音をさせて溝口が椅子から立ち上がった


「………お前は被疑者じゃない。これは任意同行。お前はここに来て、俺と話をして、事情聴収を受けた。その結果、違法性がない…。そう調書に書いておく」


「え…」


それって…


「だから、そのナツちゃんを連れてサッサと帰れ。お前、まだ仕事中だろ?」


フウッと大きく溜息を吐き、頭を掻く溝口


「いいのか?」


「何だよ…。参考人として呼んだだけじゃ不足か?何なら、取り調べしてもいいけど?」


シッシッと追い払うように手を動かし、そっぽを向く


「サンキュ、溝口」


「他のヤツらに捕まんなよ」


いつもの笑顔で俺を見送る溝口に礼を言って、ナツと警察署を後にした
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