麗雪神話~炎の美青年~
ディセルが両手に氷を研ぎ澄まして作った剣を持ち、ムカデに斬りつける。

しかしムカデの体はぬるりと滑り、斬り攻撃を受け付けないようだ。

「セレイア! 剣は効かない! 槍で突いてみて!」

「了解!」

とはいったものの、セレイアはうまくムカデの速さについていけなかった。

このムカデ、見た目以上にすばしっこい。

これは多少の怪我を覚悟で懐に飛び込んでいかなければだめか…。

セレイアは発射される針を右に左にかわしながら、ムカデの懐に飛び込んでいった。

力を込めて、ムカデの胴体に槍を突き刺す!

手ごたえがあり、紫色の体液が飛び散った。

が…致命傷ではなかった。

セレイアはすぐさま槍を引き抜こうとしたが、体液で手がすべってうまくできない。

その一瞬の隙で、ムカデはセレイアの体を吹っ飛ばした。

「セレイア!!」

ディセルのそばまで吹っ飛んだセレイアはすぐさま身を起こす。

「大丈夫よ、でも…」

大切な武器がまだムカデに刺さったままだ。

「ディセル、槍を取り戻すわ。氷の壁をこうつくって…うまくムカデを誘導できないかしら」

「わかった」

二人の相談は迅速に行われ、無駄がなかった。
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