SONG 〜失われた記憶〜
「栗山さん、
どうぞ」
「ありがとう、
綾那ちゃん」
「ロックで平気でしたか?」
「うん」

と、
綾那は彼にお酒を手渡すとそのまま、
別の席へと移動してしまった。

彼女なりに気を遣ったのだろう。

「あ、
そうだ詩ちゃん。
今度の月曜、
空いてる?」
「え?
月曜…?」
「そう。
毎年恒例のバーベキュー、
良かったら参加して。
まだ一度も参加したことないでしょ?」
「…あー、
もうそんな時期か」

毎年この時期になると彼の店では、
従業員とお客さんとでバーベキューをする。

互いの親睦を深めるためらしい。


毎年彼は誘ってくれるのだが、
この時期はいつも新曲の曲制作やレコーディングなどで中々時間が取れない。

まあ今回はまだスケジュール調整前なので、
綾那に言えば、
なんとかしてくれるかもしれない。

「まあ、
無理にとは言わないけどさ。

店の奴らも詩ちゃんに会いたがってるし、
時間があったら来てよ」
「綾那にスケジュール確認してからまた後で連絡しますね」
「ん、
ありがと」

とても優しく、
穏やかな笑顔を向ける義人さんに、
私もとびっきりの笑顔で返した。



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