SONG 〜失われた記憶〜
サイフォンで抽出したコーヒーをカップに注いで、
カットしたタルトをお皿に盛りつける。
それを洒落たお盆に乗せて、
深夜のカフェタイム。
「誕生日おめでとう」
カチャン、
とコーヒーカップで乾杯。
誕生日はもう過ぎてしまったが、
二人だけのささやかなお祝い。
豪華なパーティーなんかよりもずっと、
こっちの方が気楽でいい。
去年は事務所が盛大なパーティーを開いてくれたのだが、
お偉方の挨拶回りで却って気疲れしてしまった。
だから今年は気の許せる仲間内だけで後日、
祝うつもりだ。
多分新曲が完成したあとに。
「今日、
義人さんが来てくれなかったら危うく誕生日、
一人で過ごすとこだった」
「ああ…今新曲作ってるんだっけ?」
「うん。
ちょっと作詞に行き詰ってて…」
「ははっ!
相変わらず作詞、
苦手だね」
「作曲は得意なのにな…」
「昔から即興で曲、
作ってたしね」
「うん。
それしかすることなかったし」
ピアニストの母と指揮者のマエストロを父に持つ私は、
物心ついた頃から様々な楽器に触れていて、
兄や両親に教わりながらも数種類もの楽器を自在に扱えるようになった。
周りからは天才だとか言われていたが、
実際は違う。
子供の頃は身体が弱く、
外出禁止されていたのでとにかく暇だった。
作曲も覚えて、
毎日のように即興でメロディーを奏でていた。
毎日楽器に触れていれば、
嫌でも上達して上手くなる。
カットしたタルトをお皿に盛りつける。
それを洒落たお盆に乗せて、
深夜のカフェタイム。
「誕生日おめでとう」
カチャン、
とコーヒーカップで乾杯。
誕生日はもう過ぎてしまったが、
二人だけのささやかなお祝い。
豪華なパーティーなんかよりもずっと、
こっちの方が気楽でいい。
去年は事務所が盛大なパーティーを開いてくれたのだが、
お偉方の挨拶回りで却って気疲れしてしまった。
だから今年は気の許せる仲間内だけで後日、
祝うつもりだ。
多分新曲が完成したあとに。
「今日、
義人さんが来てくれなかったら危うく誕生日、
一人で過ごすとこだった」
「ああ…今新曲作ってるんだっけ?」
「うん。
ちょっと作詞に行き詰ってて…」
「ははっ!
相変わらず作詞、
苦手だね」
「作曲は得意なのにな…」
「昔から即興で曲、
作ってたしね」
「うん。
それしかすることなかったし」
ピアニストの母と指揮者のマエストロを父に持つ私は、
物心ついた頃から様々な楽器に触れていて、
兄や両親に教わりながらも数種類もの楽器を自在に扱えるようになった。
周りからは天才だとか言われていたが、
実際は違う。
子供の頃は身体が弱く、
外出禁止されていたのでとにかく暇だった。
作曲も覚えて、
毎日のように即興でメロディーを奏でていた。
毎日楽器に触れていれば、
嫌でも上達して上手くなる。