……っぽい。
 
「笠松は、そのー……好き……なの?」


香久山さんにあそこまで言われたら、いくらクラゲ脳でも、なんとなく察せてしまった。

うー……と悪夢にうなされ、ダンゴ虫のように丸くなって寝ている笠松の背中に問いかける。


当然返事はないわけだけれど、「私のことが」と最後まで言い切れなかったのは、そこまで都合よく考えられない気持ちと、笠松と私の4つ離れた歳の差、それから……。

笠松のことだけは好きになるのが怖い、から。


先輩と後輩という関係が居心地がいい、というのもあるし、笠松が相手だと無理せず自然体の自分でいられるのも、もちろんある。

それは、笠松が入社してきたときからずっとそうだったし、成り行きとはいえ、こんな私と同居までしてくれる人は本当に稀有な存在だ。


けれど、やっぱり怖いのは、今までつき合ってきた人がそうであったように、もしかしたら笠松も……と疑ってしまう自分がいるから。

自分のことも笠松のことも信じてあげられないのが、酷く悲しいことのように感じるからだ。


「笠松って、恋愛関係も気の毒だよね……」


また悪夢にうなされ、うー……と苦しそうな声を出した笠松の背中を、ここがええのんか?とさすってやりながら、ふっと口元が緩む。
 
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