……っぽい。
 
『鶴亀課』--。

私はいつも、鶴亀課は鶴亀堂の歴史を世に広めるために布教活動をしている、なんて面白おかしく表現しているけれど、その実は、なんてことはないただの広報課。

社内報はもちろん、鶴亀堂で販売しているあらゆる商品の販促や宣伝等々を一手に請け負い、全国津々浦々に展開させている課である。

ただ、とても忙しい課なので、課の面々は常に異様なハイ状態で仕事をしており、そのせいで社内報はなかなか宗教じみたものが感じられ、若干怖いのがたまにキズなのだ。


……まあ、笠松と私も『めんこい課』に異動になる一昨年までは教祖様の一人だったので、あまり大きい声で怖いとは言えないけれど。

しほり、辻岡さん、ファイトー。


それにこの会社は、どういうわけか課のネーミングセンスがイッちゃっているので『鶴亀課』『めんこい課』をはじめとして、『ゴム課(卑猥に聞こえるがただの消しゴム課)』、『ハケ課(ハゲと一瞬見間違うが習字や絵画等々の筆を幅広く扱っている課)』などのヘンテコリンな名前の課がたくさんあるのだ。

これでよく“老舗”と名が付く文具メーカーとして世に名前を認知されているものだと思うけれど、そこはきっと、世襲によって代々受け継いできたその時々の社長のお茶目心の結果なのだろうと、私はそう解釈することにしている。
 
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