……っぽい。
 
Mサイズのくせに軽々と私をお姫様抱っこした笠松は、乱暴に革靴を脱ぎ捨てると、ワンルームを突っ切り、あるところへまっしぐら。

超絶恥ずかしいから早く下ろしてとジタバタもがく間すら与えてもらえず、ひゃん……!とベッドに転がされてしまった。


「先輩、かっわい〜。そんなくだらないことを悩んでたんですか? 29歳にもなってほんとバカですよね。年下の本気ナメないでください」

「く……くだらなくなんかっ」


私を跨いだ格好で余裕たっぷりに見下ろしてくる笠松に、僅かながらの反抗を試みる。

なんだよ笠松、29歳だからこそ色々悩むこの気持ち、なにゆえ分かってくれぬのじゃ!


想像を絶するのだぞ、29歳は。

周りはどんどん結婚していくし、子供ができただの、産まれるだの、いつの間にかちゃっかり子供の人数が増えていたりもするし、親からのプレッシャーだって半端ないのだ。

男性の29歳は結婚はまだこれから、今は遊んでいてもいいかなっていう年齢かもしれないけれど、その実、女性はなかなかそうはいかない。

会社でも、結局嫁に行けずにお局様に……とかいう展開になってしまったら、プライベートと仕事とのダブルパンチで失神モノある。
 
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