……っぽい。
「過呼吸ですね」
「カ、コキュウ……?」
目が覚めたのは病院のベッドの上。
どうやら病院まで運んでくれたらしい笠松が、気が動転したようなひどく青い顔のまま、それでもしっかりと私を支えてくれながら診察室にて症状を聞いた私は、先生の言葉をカッコウみたくオウム返ししながら首を傾げた。
「最近、何か強いストレスを感じた出来事はありますか? 念のため検査をしてみましたが、数値は全て正常ですし、過呼吸は心的ストレスが原因でも症状が出るんですよ」
「はあ……」
「過呼吸は、以前には?」
「いえ、神経図太いんで初めてです」
私の小ボケをもろともせず、にこりと爽やかな笑みを浮かべて微笑む当直医らしき男性医師。
年の頃、私と似たり寄ったりの年齢かと思われる医師は、私のすぐ後ろで話を聞いていた笠松に目を向けると「彼氏さんは何か心当たりはありますか?」と穏やかな口調で尋ねた。
私があまりに他人事みたいな反応をしてしまったために、付き添ってくれていた笠松に質問がなされるのは当たり前のことだ。
でも、彼氏って。
照れている場合じゃないけど、普通に照れる。
「心当たりはあります」
その笠松は、沸々と煮えたぎる怒りを辛うじて押さえたような声色で、医師にそう言う。