……っぽい。
 
……おおおお怒っている、とんでもなく。

マムッポンまで飲んでやる気満々になったのに、よりにもよって過呼吸でまたまたお預けを食らわせられたのだ、そりゃ怒るよ、私にさ。

あれだよ、笠松の言う心当たりは、私が笠松にがっつきすぎて過呼吸になるくらいまで勝手に興奮しちゃったとか、そういうことだろう。


自分で言ってはアレだけれど、29歳の性欲マジでハンパなかったし、今思えば笠松とどっこいどっこい……いや、むしろマムッポンで元気倍増の笠松よりがっついていたかもしれない。

恥ずかしーっ!


「橘さん、症状も落ち着いたようですし、今日はもうお帰りになって大丈夫ですよ」


ひとり、我が性欲の恥ずかしさに頬を熱くさせて俯いていると、穏やか医師は、やっぱり穏やかにそう言ってカルテにペンを走らせる。

書き終わると、お帰りくださいとふわっと微笑まれて、私ももやっと笑顔を返し、お礼を言って笠松とともに診察室をあとにする。


「笠松、今日は色々ごめんね。ほんとビックリしたでしょう、いきなり過呼吸だなんて。病院まで運んでくれて、ありがとう」


夜間通行用の出入り口に向かって並んで歩きながら、ずっと苦々しい顔で無言を貫いている笠松に誠心誠意、お詫びの言葉を述べる。
 
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