……っぽい。
ようやっと2杯目のビールジョッキを手にしたカグが、感心したように言った。
俺はそのピュアという言葉に大きく頷きつつ、枝豆をポイポイと口に放り込む。
塩加減と湯で加減がとても俺好みである。
「まあ、千晶も確かにいい子なんだけど、先輩とは違うっつーか、他人のために平気で自分の身を投げ出すようなことには一歩引くみたいなところが昔からあってさ。言い換えればそれが安心材料でもあるんだけど、先輩の影響なのかなー、もっと熱くなれよと思わないわけでもなかったみたいな。……いい子なんだけど」
「ふーん。骨抜きじゃん、まっつん」
「まあな」
だから困ってんだよと、口の中で細かくなった枝豆をビールで流し込みつつ、カグに愚痴る。
元が鈍感なのもあるが、そもそも先輩は自分が誰かに好かれるなんていう考えがない。
だから先輩の愛はとても危なっかしいし、誰にでも同じように注がれるのだろう。
川に入ったあと、案の定、大風邪を引いた先輩は、デコに冷えピタを貼ってダルマみたいにブランケットや毛布を巻き、熱に浮かされながらも会社を休まず仕事をこなしていた。
心配して「彼氏に看病をお願いしたらどうですか?」と言った大崎ちゃんに「彼氏に風邪移したくないから連絡するつもりはないよ」と笑って言っていた先輩の顔が思い出される。