……っぽい。
そのときは、そんなもんなのかなとも思ったけれど、今思えば、それって彼氏としても彼女としてもあり得ないんだよなと、ぬるくなったビールを飲み干し、苦味で眉をしかめる。
俺なんて、千晶が微熱でも甲斐甲斐しく介抱したし、もともと生理痛がひどい奴だったから、生理前のイライラも、生理中の痛みの愚痴も毎月毎月「そうか、辛いよな」と聞いていた。
千晶がそうしてくれたら嬉しいと言ったから、俺はそうかと思ってやっていたわけだが……先輩はきっと、全部我慢しちゃうんだろうなと、青白い顔で鼻水を抑えるためにティッシュを穴に詰めて仕事をしていた珍獣を思い出し、先輩らしいと思うと同時に、胸がズキズキ痛んだ。
もっと頼れよ彼氏を。
今は俺を。
先輩にはただの後輩にしか見えていないだろうけれど、俺はこれでも本気なんだぞ。
頼ったら嫌われると思っているのだろうか、先輩の『彼氏に風邪を移したくない』という台詞が、今となっては嫌われたくないから言っていたように思えるのは、たぶん、俺の気のせいでも、激しい思い込みでもないだろう。
「でもよ、俺、ビックリしてる」
すると、スズメ串なんていう一風変わった品を頼んだカグが、それを美味そうに食べながら、なぜか俺を見て嬉しそうに笑った。