……っぽい。
顔はもともと俺のタイプだったし、仕事やちょっとした飲み会なんかで垣間見える素の先輩が人間的に好きだったから、それが恋による好きだと気づくまでに随分と時間がかかり、その間ずっと千晶を傷つけていたわけだけれど。
でもだからこそ、気づかせてくれた千晶には謝罪と感謝を、先輩には精一杯の嘘偽りのない俺の気持ちを……本人にどれだけ気づいてもらえなくても諦めずに伝え続けなきゃいけない。
振り向いてもらえる日まで。
「……なあカグ、俺、ちゃんとした恋って先輩が初めてかもしんない。だから、どうしたらいいのか、さっぱり分かんねーんだ。ぶっちゃけ怖い。片想いってマジ不安……」
だいぶ酔いが回ったのか、テーブルに突っ伏した格好で、ぽつりと本音を漏らしてしまった。
なんせ相手は、あのクラゲ珍獣・橘海月。
手強いっちゃあ、ありゃしない。
愚痴りたくなるさ、不安になるさ、怖くだってなるさ、分からなくもなるさ……さあ思いっきり慰めてくれよ親友・香久山家守。
が。
「んなもん、うっかり年上の女を好きになっちまったお前の不幸と宿命だな。年下男なんてモンは不幸でさ、こっちが本気でも“男”として見てもらいにくいんだよ。せいぜい愛をぶつけて振り向かせる努力をするこったな」
「……」