……っぽい。
 
「ねえ瀧川さん、お昼ご飯、オムライスなんですけど、一緒に食べてくれません? 半分でいいんです、半分だけ!食べたいけどまだそんなに食欲なくて……ダメ、ですかね?」


カップに付いたグロスの跡を指で拭き取っている瀧川さんに、そうお伺いを立ててみる。

初対面の人からいきなりご飯を半分こしてほしいと頼まれることは日常生活においてまずないので、意表を突かれたのだろう、瀧川さんは口をあんぐりと開けて私の顔を凝視した。

何を言っているんだこの人、と顔に書いてある。

そりゃそうだ、おかしいもの、半分こ。

けれど、やっぱり食べられるだけ食べてまた冷蔵庫コースかしらと思っていたところ、瀧川さんは観念したように眉をハの字にさせた。


「あはっ、いいですよ、半分こ。私もちょうどお腹空いてきたなーって思っていたところでした。橘さん、風邪なんですよね? よかったら私に指示してください、準備しますよ」

「え、いいんですか!?」

「たくさん良くして頂いているお礼です」


そう言ってにっこりと笑うと、瀧川さんはすっと立ち上がり「冷蔵庫ですか?」とそちらのほうを指さしつつ私に尋ねる。
 
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