……っぽい。
 
「あの……もうちょっといません?」


2杯目の紅茶を飲みつつ、テーブルに置いた自分のスマホで時刻を確かめている瀧川さんに、思い切ってそう、提案してみる。

瀧川さん本人は意識していないつもりかもしれないけれど、ときどきふっと表情を曇らせるので、なんだか放っておけない気分なのだ。


「え、でも……」

「どうせだから、笠松のこと、驚かせちゃいましょうよ。今日はあいにく休日出勤で部屋にはいないんですけど、仕事から帰ってきたら瀧川さんがネグリジェ着て待ってるって、こんなの超面白いじゃないですか!やりましょう!」

「いや、ネグリジェはちょっと……」

「えー、私なんかよりずっと似合ってますよ?」

「そういう問題でも……」


困ったような、でも嬉しさも垣間見えるような複雑な笑顔を向けられて、困らせているはずなのに、きゅうんと胸が締めつけられる私は、もしかしたらソッチの気もあるのだろうか。

いやいや、嘘、嘘、冗談である。

でも本当に瀧川さんには帰ってほしくない。

私の身勝手で瀧川さんを振り回しているのは百も承知だけれど、どうか……どうか帰ってしまわないで……と目で切実に訴える。


「……」

「……」
 
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