……っぽい。
そんな俺を見下ろして、千晶は言う。
「今日、夕方にひどい雨が降ったの、ジュンノ知ってる? 天気予報で夕方から雨だって言ってて、計算して雨に打たれてここに来たの。雨に打たれた、いたいけな姿だったら、ジュンノなら部屋に入れてくれるって確信して」
「……」
「カグちゃんから、橘さんと同居してることもつき合ってることも全部聞いて知ってた。知ってた上で、ジュンノにもう一度振り向いてもらいたくて来たの。就職してからずっとジュンノが橘さんに惹かれてることは気づいてた。それでも離れたくないから同棲を持ち掛けて1年と少し、頑張った。私なりに。でも……私には、割り込む隙なんて最初からなかったんだよね」
「千晶……」
まずは落ち着いて話そう、というつもりで伸ばした右手を「同情なんかしないでよ、もっと惨めになるじゃない」と勢いよく振り払われる。
堰を切ったように涙をぽろぽろと流す千晶の姿に胸がズキンと痛むけれど、それでもこの痛みは俺の中でもう“同情”になっているのだと気がついて、振り払われた手をそっと引いた。
「カグちゃんには、ジュンノと別れたあとも、ずっと相談に乗ってもらってたの。やっぱり好きなの、諦めきれないって」
「え、だってカグは一言も……」