……っぽい。
なんてこったよ、そんなこと、カグの口から一言だって聞いていないぞ。
千晶の近況だって聞いたことがなかったし、だってカグはずっと俺の相談を受けていて、冷やかしたりバカにしたりしながらも先輩のことを頑張れって励ましてくれていたじゃないか。
千晶もカグも、なんだってんだよ……。
けれど、その答えは千晶が知っていた。
「カグちゃんはジュンノの親友だもん、ジュンノの恋を応援するに決まってるじゃない」
「……そんなもん、かな」
「そうだよ。だって私は、カグちゃんの中ではジュンノを転がす“強かな雌豹”だもの。カグちゃんはもともと、ジュンノと私のちょっとしたズレに気づいていたんだって。それでようやく私たちがそれぞれの方向に進み始めたってときに私だけ逆戻りしてるんだもん、そりゃ、いくらカグちゃんだって言えないでしょ」
「そっか、ごめん」と謝る俺に対して、千晶は「まったくよ」と鼻を鳴らし、少し落ち着いたのか、指で涙を拭ってキュッと上を向く。
それからふぅ……と大きく息を吐き出すと、覚悟を決めたように俺に視線を向け、今日ここに至るまでの経緯を静かな語り口で話しはじめた。