……っぽい。
笠松がすみません笠松がすみません……っ!と、脳内ではすでに笠間の頭を無理やり下げさせ一緒にペコペコ平謝りする図が浮かんでいる。
加えて嫌な汗も全身に吹き出してきて、先ほどの涙と今かいている脂汗が肌の上で睦み合うように混ざり合い、いくら整えたところでもう人前に出られる顔面に戻せる気がしない。
ほんっとに笠松はもう!
近頃、大崎ちゃんが醸し出すほのぼのとした雰囲気のおかげでめっきり優しくなったと評判なのに、ここで鬼に戻してどうする!
怖いんだ、私が!
「笠松君、一体、何を言って……?」
「あ、いえ、個人的なことです、すみません。でも、この話はもうしないでください。……守りたいものがあるんです、申し訳ありません!」
「あっ!」
大崎ちゃんのほのぼのパワーは鬼の片鱗すら出させないまでに課長を凌駕していたらしく、ついぞ穏やかな語り口だった課長から強引に話を切り上げると、笠松はそのまま、自販機の側面に隠れている私に気づくことなく課のドアを押し開け、フロアに入っていってしまった。
と、そこに、弱々しい課長の呟きが耳に入る。
「笠松君ほど適任者はいないのに……」