……っぽい。
笠松は元々、そういうセンスが抜群だ。
前に聞いたとき、特にデザインの勉強をしたというわけではないと言っていたのに、笠松が次々と考案していくキャラクターはどれも一癖ある魅力的なものばかりで、中でも私は、シャープペンのノック部分に颯爽と歩く格好の黒猫が付いているものが大のお気に入りで。
芯を出すために猫の背中をノックするたび、両手両足が伸び、なんと爪まで飛び出してくるという、とても凝った一品なのだ。
伸びて爪まで出す猫が面白おかしくて、特に用もないのについつい何回も押してしまい、よく隣のデスクの大崎ちゃんにクスクス笑われる。
そんな独特のセンスでもって次々とヒット商品を生み出している笠松が、せっかくのチャンスを自ら棒に振ろうとしているなんて……。
込み上げてきた涙を堪えるため、きゅっと下唇を噛みしめ、持っていたランチバッグとマイボトルを手の感覚がなくなるまで握りしめる。
「全部私のためとか、バカじゃないの……」
笠松め、自分に巡ってきた滅多にないチャンスよりお気楽クラゲでなんの取り柄もない私を選んじゃうって、どんだけ私のことが好きなの。
一番なりたくなかった足枷に、今、私はなろうとしているのだろうか。
……こんなの、全然嬉しくないよ。