……っぽい。
 



夜。

今日も帰りの遅い笠松の帰宅を待ちつつ、テレビを見るともなしに見ながら先に晩ご飯を頂く。

過呼吸の症状がすっかりなくなったことと、笠松の仕事が前にも増して忙しくなったことも重なり、7月に入ってからの私たちは、特に申し合わせたわけではないけれど一緒に出社退勤することを、一旦、休みにしていた。


笠松は私に「発売日まで秘密です」と言って、もう完成しているらしい新作ゆるかわキャラの図案を頑なに見せてはくれず、けれど『めんこい課』はおろか社運までかかっていそうな一大プロジェクトの宣伝にも大いに携わっているようで、そのために帰りが遅い日々が続いている。

原案は笠松なので、納得のいく宣伝広告を作るために日夜奮闘しているのだと容易に想像はつくものの、毎日ヘトヘトになるまで働き、週末も休み返上で出勤している笠松に、私が結婚についてどう思っているかを打ち明けたり、真山課長と話していた件について聞いたりすることは、果たして許されるのだろうか……。


「言ってみる、っては言ったけど、タイミングがなぁ。めちゃめちゃ悪すぎだよぉ……」


あまり進まない目の前の食事からため息とともに少し離脱し、近くに転がっていたクッションを抱き寄せコテンと横になる。
 
< 271 / 349 >

この作品をシェア

pagetop