……っぽい。
なんで今日はそんなに駄々っ子なの。
喉まで出かかった言葉は、しかし飲み込む。
今すぐ目の前の頭を抱き寄せて「行かなくていいよ、ごめんね」と言いってあげたい衝動に駆られるけれど、笠松のために送り出すという決心を今この場面で鈍らせるわけにはいかない。
これは、笠松が実力で掴んだチャンスだ。
絶対に今後の糧になる。
「たった3ヶ月じゃない。その間、全国を新作キャラのキャンペーンで回るだけなんでしょう? なんでそんなに行きたくないの?」
きゅっと涙腺を閉め、聞いてみる。
先ほど笠松が帰宅したときに聞いたのだけど、真山課長に打診されていたことは、原作者である笠松も共に全国行脚の旅に同行してはもらえないだろうか、という内容だったらしい。
上層部からの圧力に白目を剥いて頑張っていた仕事は、やはり社運もそれなりに掛かっているものだったようで、お客さまと直接触れ合う機会も兼ね、プロジェクト立ち上げ当初から全国行脚を打診されていたということだった。
「……だって、先輩が一人になる」
「余裕で生き残れるってば」
「だって先輩、一人でフラッとどっかに行っちゃいそうなんだ。だから俺が守らないと」