……っぽい。
しかし笠松は、なかなかの駄々っ子だった。
フラッとどっかに行っちゃうってさ、本物のクラゲじゃあるまいし、そんなことでキャンペーンに行きたくないなんて……。
目眩を覚えそうになるけれど、ぐっと耐える。
「実を言うと、ここ最近の私さ、笠松がいなきゃ何もできないのかなって思ってたんだ。いっぱい頼っちゃったから、申し訳なくて……。だから、いい機会だし私にもちょっとは成長させてくれないかな。それに笠松だって本当は行ってみたいんじゃないの? キャンペーン」
駄々っ子笠松の目をしっかり見据え、どうか前向きに考え直してと気持ちを込めて声に出す。
けっこう自信作、なんて言っていたから、直接お客さまの顔を見て反応を確かめられるいい機会だと、私も本当にそう思う。
プロジェクト立ち上げ当初から課長が熱心に誘ってくださっているのだ、前向きに検討するとも言っていたというし、私のために行かない選択は、どうしてもしてほしくない。
それにやっと、私の中に渦巻いていたあらゆる不安の根源が“笠松に比べて一つも成長していない私”であることが、はっきりした。
だからどうしようもなく不安になっていたし、死ぬほど嬉しかったはずなのに、その場で結婚の申し入れを受け入れられなかったのだ。