……っぽい。
 
「え、俺、フラれそうな顔ですか?」

「なんか、気負いすぎてて逆に気の毒」


手近なところに鏡がなかったため、直接どんな顔をしているのかを聞いてみたところ、先輩にバッサリと斬られてしまった。

気負いすぎていて逆にそれが気の毒に思える顔って、一体どんな顔なんだろうか。

まあ、先輩にはそう見えているのだから、自分で顔を確かめられない俺には先輩の言った通りに受け取るしかないとは思うものの、それにしても酷い言われようだなオイ。

曲がりなりにも自分の彼氏が弱さを晒け出し、それでもまた立ち上がろうとしているときに言える言葉じゃない気がするのだが。

うーむ、先輩は今日はなんだか恐ろしい。


「あ、そうだ。ちょっと待ってて。今、いいものを書いて見せてあげるから」


そんなことを考えていると、先輩はそう言い、椅子の下に置いていた自分の鞄を開け、手帳とペンを取り出し何かを書きはじめた。

先輩の肩越しにそれを覗き込んでみると、一画二画と『人』という漢字が大きく書かれていく。


「いいですか、笠松。クラパチ先生が『人』という字の何たるかを教えてあげます」

「はあ……」


クラパチ先生とは、クラゲとあの有名なB組の熱血先生とを掛け合わせたものだろう。
 
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