……っぽい。
にしても、いきなり先生口調って。
どんだけいいことを思いついたのかは知らないが、慣れない先生口調にキメどころで噛まなきゃいいなと真剣に心配してしまう俺である。
それはさておき。
「一画目はつい最近までの私ね。自分の部屋をホテル代わりに使われて住めなくなって、笠松の部屋に住まわせてもらって。恋愛矯正とか正当な恋人同士の関係とか、当たり前のことを色々教えてもらって、たくさん助けてもらった」
「はい」
「それで二画目。これは前までは笠松でした。一画目の私を下から支えてくれてたの」
「はい」
書いた字の部分にトントンとペン先をリズミカルに当てながら、クラパチ先生は雄弁に語る。
「今回のことは、笠松と私の立ち位置が逆。倒れそうになっている笠松を支えるのが私の役目だったのに全然できなかった。実際、脱水症状と過度のストレスで倒れちゃったわけだし、結果的に私は何も支えになれなかったんだよ」
「いや、それは……」
「うるさい、黙って聞きんしゃい!」
「……ハイ」
先輩に離れていってほしくなかったがための俺のちっぽけなプライドだったんです、気にしないでください、と続けたかったが、ぴしゃりと遮断され、仕方なく大人しく口をつぐむ。