……っぽい。
先輩は、表面上は分かりやすい性格をしているように見えるけど、内面は繊細で危うく、脆い部分があり、自分より周りの人間が傷つくことのほうに心を痛める優しい人だ。
俺を疑っていたわけじゃないんだろう。
ただ、つき合いたてで盛り上がっている時期に結婚まで踏み切り、その後の結婚生活で俺に負担がかかることを先輩は心配しているのだ。
自分のせいで俺が無理をしてしまうんじゃないか、やりたい仕事に打ち込めなくなるんじゃないか……そういう不安が先輩の中にはずっとあったんだと、かすかに震えている先輩の小さくて細い手を見てようやく気づく。
ああもう、また俺は……。
不安にさせないように守りたいのに、自分の気持ちばかりを先行させて、強引に押し付けて。
何やってんだよ、俺。
「でも、笠松が倒れたって聞いたとき、頭で考えるより先に体が動いたの。早く会いに行かなきゃってそればっかりで、会社も飛び出してきちゃった。愛だよねぇ、しみじみ思うわ」
すると、落ち込む俺に先輩は言う。
「確実にバレましたね、課のみんなに」
「だよー……。会社行きづらいなあ、もう」
少しからかうと、先輩は恥ずかしそうに唇をとがらせ、ほっぺたをポリポリ掻く。