……っぽい。
「笠松、別にお粥じゃなくてもいいよ。てか、ここまで連れてきてもらって申し訳ないんだけど、正直、何か食べたら吐くかも……」
笠松に格好つけさせてあげようとか、フォローしようとか、本当にそういうんじゃない。
お粥は諦めたほうがよさそうな状況になった今だから言えるけれど、消化のいいお粥でも、吐かない自信はちっともなかった。
いくら可愛いものを見て気分が上向きになっても、レトロ可愛い街並みに心が躍っても、ふとした瞬間に重く首をもたげてくるのは、私の部屋で見た、あの戦慄の光景だ。
それに、笠松に来てもらった本当の理由は、とりあえずの確認のために私の部屋まで一緒に帰ってほしいという、ちょっとワケアリな頼みを聞いてもらうためだったりする。
「そんなに具合悪かったんすか……すみません、全然気づかなくて。どうします? 部屋まで送りましょうか? それとも、すぐに休めそうなところを探してきましょうか?」
急にソワシワしだす笠松に、私は即答する。
「送ってもらえると助かる」
「了解です」
そうして笠松と私は、急遽、駅のほうへと引き返すことにした。
名残惜しいけれど、体調がよくなったらお粥も食べに来るし、雑貨屋さん巡りもしよう。
……もう彼氏はいないから、きっと1人で。