……っぽい。
笠松と「そんなもんすかねえ」「そんなもんすよ」と話しながら、マンションを見上げる。
私の部屋は、ここから見て3階の左から2部屋目にあるのだけれど、閉めたカーテンから中の明かりが漏れているのが確認できた。
……いる。1人か、2人か。
どっちにしても、ぐっと体に力が入ることには変わりはないわけで、やっぱり笠松について来てもらってよかったと痛感する。
「……一つ確認なんすけど、鍵を開けて部屋の中の様子を見たらいいんですよね?」
私の様子の変化を敏感に感じ取ったらしい笠松は、幾分緊張した面持ちで私を見下ろすと、そう声をひそめて手順を確認した。
ここまで来る間に詳しい事情を説明できたらよかったのだけれど、私の体調がそれを許してはくれず、笠松にとっては意味不明なミッションになってしまっているのが申し訳ない。
それでも笠松は、電車の中で言ってくれた。
『詳しいことは話さなくていいですから、俺にやってほしいことを言ってください』
だから私は、ここまで来れている。
「うん。お願いしたい」
「了解です」
決意を込めて見上げると、笠松は二つ返事で了承してくれ、私たちはマンションへと入った。