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「でも従妹がね、私よりも前に嫁いだんですけど、そのときに診て貰ったようで。従妹は姑から、跡取りを散々望まれてて、何としても男の子が欲しかったようで。で、その術者を探して、この伏見へ来たんですって」

「ほぉ」

「従妹も追いつめられてましたから。相当な金を払ったそうですけど」

「で、本当に男を産んだのかい?」

 疑わしげに聞くと、娘はこっくりと頷いた。

「ええ。見事に」

 貫七は少し考えていたが、肩に移っていたおりんを一撫でして娘を見た。

「会ってみてぇな、そんな奴に」

「ちょっと気持ち悪くないかな。私は……どうしようか、迷ってて」

 案外気の強い女子かと思ったが、やはり得体の知れない術者のところに乗り込むのは、そこが近くなるにつれて気が引けるようだ。
 貫七は、ちらりとお付きの者を見た。

「う~ん、俺が一緒に行くよりも、ちゃんとしたお付きの者らのほうが、腕っぷしも良さそうだしなぁ」

 用心棒が二人もついているのだ。
 万が一怪しい術者だとしても、そう危険はないのではないか。
 もっとも金縛りに遭わすとか、そういう術が使えた場合はわからないが。
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