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 が、娘が、ぱっと顔を上げた。

「え、お兄さん、ついて行ってくれたりするの?」

「ん、いや。心細いってんなら、ついて行ってやってもいいかな、とは思ったけど。でもよく考えたら一人じゃねぇじゃん。こんだけ頼りになりそうな人らがついてるんだったら大丈夫だろ」

 あまりに食いついて引かれても困る。
 傍目にも腹の子など、貫七には関係ないのだから。
 あっさり引き下がる様子を見せる貫七に、娘はずい、と身を寄せた。

「でも、お兄さんもついてきてくれたら心強いよ」

「俺なんて、何の役にも立たねぇよ?」

 ちょっと困ったように言う貫七だが、実はこうなることも計算済みだ。
 腕っ節は期待されなくても、少しでも一緒にいる時間を延ばしたいと思うはずなのだ。
 折角顔が良く優しい男と、少し仲良くなれたのだから。

 ただ、同性に反感を買うのはよろしくない。
 なので、お付きの者のことを褒めるのも忘れない。

「俺より、そっちの兄さんたちのほうが、よっぽど頼りにならぁな」

「確かにの。兄ちゃん、細っこいもんなぁ」

 まんざらでもなさそうに、大男が顎鬚を撫でる。
 男であっても魅了出来るほどの外見ではあるが、この大男には別の作用も働いているようで、ぽん、と貫七を促した。

「ま、いいじゃねぇか。旅は道連れって言うもんな。お嬢さんも、心細いってんなら人数が多いほうがよろしいでしょ」

 言いつつ、歩きながら貫七の肩にいるおりんを撫でる。
 大男はおりんと離れたくないらしい。

「そんじゃ、興味もあることだし、ご一緒しましょうかね」

 へら、と笑って、貫七は四人と共に歩き出した。
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