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「外の世界は楽しかったか? いろいろ知ることも出来たじゃろ」

「ああ。結構楽しかったぜ」

 それからひとしきり、貫七は今まで巡った諸国のことを話した。
 十年間の旅話だ。
 あっという間に時は過ぎる。

 ふと、貫七は肩に重みを感じた。
 ちらりと見ると、横に座っていたおりんが寄りかかっている。

「おりん……」

 貫七が少し動いたことで、ずる、と肩に乗っていた頭が落ち、おりんは、こてんと貫七の膝に倒れ込んだ。
 そのまま、すやすやと寝息を立てる。

「おお、おりんは戻ったところじゃからな。ちょいとまだ、身体が慣れておらぬじゃろうし、疲れたんじゃろ。おりんは眠らせてやったほうがいいのぅ」

 太郎坊が、いそいそと古びた夜具をおりんにかける。
 貫七は自分の膝枕で眠るおりんを、じっと見た。
 やはりどきどきと、やけに鼓動がうるさい。

「ふふ。水の中ではよぅ見えなんだが、うむ、なかなかにかわゆい女子になったのぅ」

「し、師匠はおりんが女だって、知ってたんか?」

 膝の上の僅かな重みがこそばゆく、落ち着きなく視線を泳がせながら、貫七が言う。

「気付いたのは、やはりそれなりに身体の変化が起こってからじゃよ。元々わしは、ヒトの性には拘りなどないし。おやおや、と思っただけじゃ」
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