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「政吉。お前はどうしたい?」

「え?」

 ほぼ初めて、貫七はお嬢さんの声を聞いた。
 女の声とは言えないかもしれないが、男としても高いほうだ。
 中性的、というのだろうか。

---なるほどな。顔立ちも、どっちとも取れるぐらいだったんだろうな---

 まじまじと、間近でお嬢さんを眺める。
 お嬢さんに抱かれたままのおりんは、そんな貫七をじっと見た。

「どうしたい、とは?」

「私を女にするとか言ってたじゃないか。それが一番全て丸く収まる方法だって」

「それは……そうですが。でも、さすがに若様の意見を無視しては……」

 ここまで突っ込んだ話はしてこなかったのか、政吉はたじたじとなる。
 やはりこの二人には、根無し草の貫七などにはわからない、きっちりした上下関係があるのだ。

「お嬢さんは? どうしたいんだい?」

 お嬢さんがはきはきと物を言うと、政吉のほうがたじたじとなるので、代わって貫七が口を開いた。
 お嬢さんは、ちらりと貫七を見、すぐに視線を逸らす。
 膝の上で、おりんはまた焦った。

「わ、私は……。お、女になっても、いいかな……」

 心なしか若干頬を染め、小さく言う。

 おりんは、ぴんと来た。
 お嬢さんは、貫七に惹かれたから、女になりたいのだ。
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