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「お嬢さんがいいってんなら、そうするのがいいんだろうな。んでも、本当にいいんかい? 自分の人生を左右することだぜ?」

 貫七にしては珍しく、真剣な表情で言う。
 それにもまた、おりんは慌てる。

 案の定、お嬢さんのほうは、ますます頬を染めた。
 そして、こっくりと頷く。

「……そんじゃあ、まぁ、そのことについては問題はなくなったわけだな。あとは、術者を見つけるだけか……」

「わ、私も協力します。女子のほうが、そういった占いに興味がありましょう。聞き込みも、やりやすいですし」

 にわかに協力的になったお嬢さんに、貫七も、ちょっと驚いた顔になる。

「そりゃあ、ありがてぇが……」

 訝しくも思うのだろう、曖昧に笑いつつ、貫七が言う。
 おりんが、堪りかねたように、貫七の膝へと飛び移った。

「おっおりん。お前もすっかり、お嬢さんに懐いちまったようだな」

「んにゃう~~」

 違う、と訴えたいが、本人の目の前で思いっきり首を振るのはさすがに悪い。
 だが言葉で否定することも、もちろん出来ない。
 代わりにおりんは、情けない声を出して貫七に顔を擦り付けた。

「その猫のお世話も、任せて貰ってもいいですよ」

 膝を進めて言うお嬢さんに、おりんは、冗談じゃない、と貫七の胸にしがみついて爪を立てた。

「いててっ。う~ん、それは無理だろ。こいつはやっぱ、俺じゃないとな」

 胸に貼り付くおりんを剥がしながら、貫七が言う。

「そんじゃ、とりあえず聞き込みを頑張ろう。今んとこ、それしか方法はないんだし」

 そういうことにして、その日は終了した。
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