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「……ま、腹の中を見ることが出来るってぐらいだから、それぐらい出来るのかもね。でも多分、性別を変えるというか、男のモノを潰すだけじゃないの?」

 ひら、と箸を持った手を振って、娘が言う。
 どうやらこの娘は、性別に拘りがあるわけではないようだ。
 腹の中を見れればいい、ということか。

---ほんとに懐妊してるかだけを診て欲しいのかな。んでも連れからしても、良いとこのお嬢さんだろうに、お医師に診て貰えばいいだろうに---

 不思議に思っていると、老人が顔を真っ赤にして、慌てたように声を上げた。

「じょ、嬢様! このようなところで、そそ、そのようなことを口にしてはなりません! 全く、お医師には恥じらって診察もさせないくせに、そういうことは平気で口にするんですから……」

「何だよ、言うだけなのと触るのとは、わけが違うだろ」

 ぷん、と娘がそっぽを向く。
 なるほど、診察方法が嫌なのか。

---つか、好きでもない男に触られるのが嫌なんだろうね---

 この時代、女の医師などいない。
 良家であれば、なおさらだ。

---触らず見るだけでわかるってんなら、そりゃそっちのほうがいいだろうさ---

 納得し、おりんは娘を見た。
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