私の居場所
そして私の耳元で囁いた。

「笑いが止まらないんなら、口を塞いでやろうか。」

まだ半笑いのまま、福山さんを見上げたその瞬間だった。

「えっ。」

私は福山さんに口を塞がれていた。

私の口を塞いでいたのは…。

同じく福山さんの唇だった。

時間が止まったかのように感じた。

もちろん私の笑いも止まった。

食器コーナーの一角で奥まったところだったので、他には誰も居なかった。

福山さんは私から顔を離すとこう言った。

「ごちそう様。」

まるでいつもの夕食の後みたいだ。

「福山さん!」

すると福山さんは握っている私の右手を今度は自分の唇に持って行く。

そして手の甲にキスを落とす。
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