私の居場所
「お部屋が分からないので、出て来て下さい。」

「おう。」

そんなやり取りをしていると、上の方でドアを閉める音がした。

「おはよう。園。」

満足そうな福山さんの顔。

何だかムカつく。

「園、俺の部屋は2階の一番奥だから覚えておけよ。」

さらりとそんな事を言う。

「お迎えは今日だけでしょ。だから別に覚えなくても大丈夫です。」

私はそう言い放った。

「雨の日は迎えに来いよ。雨の日の自転車は辛いんだぞ。」

真顔で言う福山さん。

「どうして私が…。」

そう言いかけた私に、その上に声を被せる福山さん。

「俺が来てほしいから。」

最近こんな返事ばっかり。
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