私の居場所

前の福山さんはこちらの都合を聞いてくれたり、気配りの人だったのに。

今は俺、俺って福山さんの都合ばかり。

「園は俺の言う事聞いてればいいんだ。」

断り切れない私に最近こういう福山さん。

「気が向いたら来ます。でも部屋までは行きませんから。」

そうやってむくれている私を愉快そうに笑う。

「おい、遅刻するぞ。」

「えっ、まずいじゃないですか。早く乗って下さい。」

私はチラッと車の時計を見る。

もう始業の8時までにあと15分。

工場へ行くと、駐車場に則人さんが居た。

「どうしたの?二人で出勤?」

珍しい物でも見るかのような顔をしている。

「はい、俺が遅刻しそうだったんで拾ってもらったんです。」

うわ~、もう猫被っているよ。

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