オトナの恋を教えてください
柏木さんが少し屈んだ格好で、私の顔をまじまじと見つめる。


「デートが終わるの寂しい?」


思わぬ質問をされたのは、改札階へ上る階段の手前だった。
図星をつかれて私は慌てた。


「はは、大丈夫ですよ」


「そ。俺は少し寂しいよ」


横を多くの人が通り過ぎていく中、そんなことを言う柏木さん。

鼓動が踊り出す。
ドンドンドンとうるさいくらいに。


「柏木さん……私」


私も少し寂しい。
でも、口に出しちゃいけない気がする。

不意に柏木さんが私の腕をつかんだ。
そのまま引き寄せられる。気付けば、彼の胸に顔を埋めるかたちで抱き締められていた。


息が……止まりそう。


凄まじい緊張感と同時に、確かに感じる高揚と歓喜。
< 107 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop