オトナの恋を教えてください
壁の振動にいろはがびくっと跳ねた。萎縮しているようで、言葉を失っている。
誓えと言われても、こんな状況で声も出ないだろ。


「週末、よく考えることね。月曜にまた聞きにくるから。柏木くんに近付かないって誓えるようにしておきなさいよ」


田亀が捨てセリフを吐き、三人はオフィスサンダルを鳴らし、去っていった。


ま、俺は面倒が嫌なんで、終始隠れてましたけどね。

しかし、呼び出しって。
昭和のスケバンですか。デカですか。



「いろはぁ」


あっちの三人と面倒は嫌だけど、いろはを放っておくわけにはいかない。

声をかけながらいろはのいるくぼみに顔を出すと、いろははその場に座り込んでいた。
膝をつき、へたり込んでいる。


「柏木さん……」


まさか俺が現れるとは思っていなかっただろう。
見開かれた目が彼女の驚きと恐怖を語っていた。
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