オトナの恋を教えてください
俺は片膝をつくと、いろはの頬をつたう涙を拭った。
親指の腹でぐいぐいこすっても、いろははされるがままになっている。


「怖かったろ?」


「見てたんですか?」


「ああ、そんで助けに入らなかった。元凶は俺なのにな。ヒドイ男だよ、まったく。いろはもこんな男に引っかかっちゃ駄目だぞー」


茶化してみて、いろはが怒ってくれるのを期待した。
だって、本気で俺のせいなわけだ。

しかし、いろはは力なく首を振るだけ。


「なんだよ、その首ふるふるは」


「いいんです。私が柏木さんに絡んでいるのは事実ですし、先輩たちのお怒りもごもっともかと思います」


いろはは心からそう思っているようだ。

いや、俺といろはは同意の上で彼氏彼女契約してるんじゃん。

それに、俺が誰と映画に行こうが、あの三人には関係ナッシングなんですけど。
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