オトナの恋を教えてください
「はぁ!?」


田亀が廊下に響く声で叫んだ。


「私たちの忠告が聞けないの?」


「はい、聞けません。私と柏木さんは付き合ってはいませんが、まだ行動を共にする事情があります。私にとっては大事な事情です。先輩方のご意見でこのご縁を解消するわけにはいきません」


「意味わかんない!」


「あんたバカなの?」


口々に言われても、今日のいろはは揺らがない。


「誰が何と言おうと、私は柏木さんから離れません。私の人生を左右することです。柏木さん本人に拒絶されたら、私は引きます。でも、部外者の方々に口を挟まれる謂れはありません。どうか、口出しご無用に願います」


毅然と言い切るいろは。

とはいえ、握った拳が震えているのが見える。

きっと、いろはは覚悟を決め、この週末練習してきたのだろう。

おっかない先輩たちの前で、きちんと意見する練習を。
いじめを跳ね除ける特訓を。
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