オトナの恋を教えてください
俺は信じられない気持ちでいろはに近づく。
見下ろしたいろはは顔を覆って、ふーふー息を吐きながら涙を堪えている。

猫が怒ってるみたいだ。


「いろは」


「すみません。契約違反です……柏木さんは…誰とも付き合わないのに……」


「ううん、俺も契約違反」


手で覆われていないいろは額に、唇を落とした。


「いろはのこと、好きになってしまったから」


いろはが顔を隠していた手をほどいた。
俺を見上げる涙に濡れた瞳が真ん丸になっている。


「冗談ですよね」


「ここで冗談言ったらタチ悪いだろ。本気だよ」


いろはががばりと身体を起こした。


「それはつまり……私たちは両想いということですか?」


俺はその真面目な問いに吹き出してしまった。
なんの確認だよ。
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