オトナの恋を教えてください
悪戯な手が私の背を撫であげる。薄手のワンピースしか隔てるもののない背中を熱いくらいの手のひらが這う。

ぎゅっと目を閉じ、身体を固くすると、その手はうなじへ伸びてきた。

耳の裏を指の腹でくすぐられ、私はびくっと身動ぎした。


「ここ好き?舐めてあげようか?」


「いやです。駄目です」


「そんな生意気な口、聞いてもいいの?」


柏木さんが身をかがめ、本当に私のうなじに唇を押し当てた。

一瞬で甦ったのは、去年の夏の記憶。
たった一度の私たちの逢瀬。

ずるい。
こんなやり口はずるい。


「柏木さんの卑怯者」


私は唸った。
本気の怒りをのせて。

数瞬の沈黙が流れる。


「……ごめん、調子にのった」


柏木さんが苦い顔をあげ、真横にそらした。
両肩に手を置き、身体と身体の間に距離を作ってくれる。
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