オトナの恋を教えてください
私が本気で言って、この人が正確に反応しないわけはないのだ。

私たちの気持ちはきちんと通じ合っている。
こんな瞬間に確認する。

柏木さんは私から離れ、カフェテーブルの椅子にどかっとかけた。
吉祥寺時代からあるこのテーブルセットは、女子好みでいかにも柏木さんのタラシ時代の名残といった雰囲気だ。

柏木さんは片手を額につけて、ふうっとため息。


「わかってる。悪いのはルール無視の俺。でもさ、いろはがよもぎばっか構ってると、俺はよもぎのついでかよって思っちゃうわけだよ」


ダッセ、と呟いて柏木さんは天井を仰いだ。
背もたれに身体を預けて、豪快にふんぞり返る。

その膝に、幾分シャープになったよもぎがやってきた。
ひらりと柏木さんの腿に乗ると、いつもどおりくつろぎだす。

よもぎ、ありがとう。
私に『近付く理由』をくれて。

私は柏木さんに歩み寄り、膝のよもぎを撫でた。

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