オトナの恋を教えてください
それでも抱擁から抜け出そうともがく私にキスをして、柏木さんが笑った。


「悪かったよ。離れがたくて、つい。俺もいろはのお母さんにこれ以上悪印象を持たれたくない。一生の付き合いになるわけだし」


楽しそうに笑う柏木さん。
なんだ、ふざけてたんだ。

ちょっぴり残念に感じながら、私もキスのお返しをする。

それにしても、『一生の付き合い』だなんて。

やっぱりさっき彼が口にした『婚約』は、リップサービスじゃなかったりして?


「あのさ、来月末のお母さんの予定、わかったら教えて。週末で空いてる日を知りたい」


互いにまだ寝転んだまま、柏木さんが私の顔を見つめて言う。


「母の、ですか?」


「うん、ちゃんと挨拶に行きたい。いろはと婚約させてくださいって」


私は暫時固まる。
問い返す声が震える。


「本気ですか?」


「本気ですよ」


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