オトナの恋を教えてください
「おかえり、いろは。あら、美野里さんいらっしゃい」


母はシャツにパンツスーツという格好で、腰にカフェエプロンを巻いている。


「お邪魔します、お母さん」


美野里が丁寧に頭を下げる。
母がにっこりと笑った。

私の交友関係まで口を出す母だけど、上品で凛とした美野里はお気に入りらしい。


「早かったね」


「今日の会食が中止になったの。今ごはん作ってるから、美野里さんも食べてね」


きりっとダークレッドの唇を引き言う母は、男性的な凛々しさと女性的な柔和さを兼ね備えた綺麗な人だ。
昔から、母は私の自慢。

母が用意してくれたのは、ルッコラと生ハムのサラダとヤギミルクのチーズカナッペ。
メインのローストチキンは一羽丸ごと買ってきたと言う。
それにハードタイプのパンで夕食は完成。

手間はたいしてかかっていないけれど、おしゃれな食卓だ。


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