課長の独占欲が強すぎです。

「そうだ、和泉さん。今度のお昼休み一緒に公園でランチしましょうよ」

「公園?」

「うん。今日、東主任と会社の前の公園で食べたんですよ。カフェのランチボックス買って来て。お天気が良くって気持ちよかったですよ。この季節外で食べるのも悪くないなって。だから今度一緒に——」

 そこまで言いかけた時、ガシャンと食器がぶつかり合う強い音がした。

 驚いて隣を振り向くと、それが和泉さんが手に持っていたお皿を乱暴に水切り籠に突っ込んだ音だと気付く。

「和泉さん、お皿割れちゃ……」

「どうして東と一緒にいるんだ」

 言いかけた私の言葉を遮るように低い声が言葉を被せた。明らかな怒りを含んだ声色に、私の身体がビクリと小さく震える。

「ど、どうしてって……別に、そんな」

「どうしてふたりでそんなデート紛いな事をしてるんだと聞いてるんだ」

 まっすぐこちらを見つめる視線は眼力が強すぎて射抜かれそうだ。和泉さんは本気で私を問い詰めている。

 忘れていた。この人の独占欲がハンパじゃない事を。

< 162 / 263 >

この作品をシェア

pagetop