課長の独占欲が強すぎです。

 報告を受けてみんなが解散した後、私は東さんに近付き尋ねる。

「あの……宍尾課長は……」

 一緒に会議に行ったはずなのに和泉さんだけ戻ってきていない。さっきの報告と併せてなんだか不安な予感がした。

「宍尾さんはまだ残って広報課長や『レジーナ』の編集長と話してるよ」

 もしかして、編集部へ異動する件の話し合いをしてるんだろうか。初版部数にさえ影響を与えてしまう有栖川さんのお願い事だ。編集長だってきっと話を早く進めたいに決まってる。

「……有栖川さんって凄いんですね。文芸だけじゃなく原作でも天才だなんて」

 もはや彼女の願いは避けようのない未来に思えてきた。

 出版に関わるものとして偉大な作家が良い作品を生み出すためには喜んで尽力すべきなんだろう。

 ……私も。つまらない嫉妬などしていないで和泉さんを快く編集部に送り出してあげるべきかもしれない。

 それが私と彼の恋人としての関係を壊す訳ではないんだし。

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