課長の独占欲が強すぎです。
 
32ページの漫画を全て読み終わったとき、私は言葉も無かった。

 面白かった、ものすごく。これは東さんの言う通り有栖川栞の最大のヒット作になりかねない。

 けれど、私が言葉を失った理由はそれではなかった。

 ストーリーは高校生の再愛物語。淡い恋心を持った幼馴染が悲劇の運命に引き裂かれ、ヒーローの記憶喪失やヒロインの病気に阻まれながらも再び想いを伝え合っていくと云うもの。

 作中でヒロインは独白する。長い黒髪を風になびかせ蒼い空を見上げながら。

『あのとき不器用すぎて伝えられなかった気持ちはまだ羽ばたけるのかな。君を傷付けた後悔を、恋と呼んでも許されるのかな』

 ——偶然でも、考えすぎでもないと、私の中で警報が鳴り響いている。

 紙束を持つ手にじんわりと汗が滲んできた。

 有栖川さんはこの作品にメッセージを籠めている。自分の想いを作品に昇華させて。

 間違いない。これは天才作家有栖川栞が宍尾和泉に贈るラブレターだ。

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