課長の独占欲が強すぎです。

「どうして今ふたりで部屋から出てきた。どうして小夏は泣いている。言え」

 私が知る和泉さんの中で、1番恐ろしい声色だった。無意識に身震いが起き足が竦む。

「い、和泉さん、やめて! 東主任は——」

「お前には聞いてない」

 慌てて和泉さんの腕にとりすがり止めようとするも、強烈な眼力で睨まれ言葉さえも阻まれてしまう。

 胸ぐらを強く掴まれ喋れなかったのか、東さんは和泉さんの手を掴み何とか僅かに力を緩めさせると

「泣かせてるのは宍尾さんじゃないですか」

と、苦しげな声で訴えた。

「なんだと?」

 大きな手にパッと離されると、胸ぐらごと掴みあげられていた東さんの身体がよろける。

 体勢を立て直すと東さんは1度深呼吸をし、息を整えてから喋り出した。

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